基礎用語


アガシ

未婚の両班の家の娘の総称。現在の韓国でも「お嬢さん」の意味で使われている。

アバママ

王族が父に対して使う言葉。

暗行御史[アメンオサ]

朝鮮王朝時代、王の勅命を受け、地方を偵察し悪政を正した隠密特使。

安東金氏[アンドンキムシ]

慶尚北道の安東を本拠に、高麗建国の功臣を開祖とする氏族。朝鮮時代後期、第23代王である純祖の正妃となった純元王后の本貫で、一族は外戚として王宮内で権力を握り、以後3代にわたって王妃を輩出。勢道政治を行った。

礼曹[イェジョ]

朝鮮王朝時代、行政を司った六曹のひとつ。儀礼や祭事、外交などを担当する官庁。

礼訟[イェソン]

儒教上の礼法に関する論争。特に、王や王后の喪服期間に関する論争を指す。

礼判[イェパン]

礼曹判書の略。式典や外交、科挙を担当する礼曹の長官。

吏曹[イジョ]

六曹のひとつで、文官を管理し人事を司る

仁旺山[イナンサン]

ソウル市にある標高 338メートルの山。内四山の西にあたり、チマ岩の伝説など数々の逸話が残る。 

吏判[イバン]

吏曹判書の略。行政や人事を担当する吏曹の長官。 

入宮[イプクン]

王宮の中に入ること。主に女性が妃や側室、女官になるため参内することを指す。 

壬辰倭乱[イムジンウェラン]

1592年、豊臣秀吉の第一次朝鮮出兵。文禄の役のこと。第二次出兵は1597年の丁酉倭乱(慶長の役)。

壬午軍乱[イモグルラン]

朝鮮王朝末期の1882年、近代化していた新式軍隊に対して旧式軍隊の兵士たちが起こした暴動。

日月五峰図[イロォルオブンド]

太陽と月と5つの峰を描いた絵。日月五岳図や日月崑 崙図とも呼ばれる。玉座の後ろの屏風に描かれたほか、王の肖像画の背景に描かれることも多く、1万ウォン札の背景としても用いられている。 

日官[イルグァン]

古代、天文観測や吉凶を占った官吏。

殷[イン]

古代中国の王朝。最後の紂王は、妲己という妖艶な美女を寵愛して暴君となり、周の武王によって倒され滅亡した。

医員[ウィウォン]

宮中の医者。

義禁府[ウィグムブ]

朝鮮王朝時代の王直属の官庁。王の命で謀反や反逆などの重罪事件を裁いた。禁府ともいう。 

右議政[ウィジョン]

朝鮮王朝時代、領議政、左議政とともに、官吏の統制と財務を担当した(この三役を三議政という)。右相ともいう。 

議政府[ウィジョンブ]

朝鮮王朝時代の行政府最高機関。 

議政府署事制[ウィジョンブソサジェ]

議政府のトップである領議政、官吏の統制と財務を担当した左議政、右議政による三議政が、行政機関である六曹と協議し、その結果を王に上奏する政治システム。

義倉[ウィチャン]

凶作や災害の際に、平時に貯蔵しておいた米を困窮している人々に分け与える機関。

医女[ウィニョ]

朝鮮王朝時代、宮中の女性を診断した専門の医者。後に、妓生(芸者)と同じように扱われ、医妓と呼ばれた。

威化島[ウィファド]

中国との国境にある鴨緑江にある中州。高麗の武将 李成桂は、王から明討伐の命令を受けて出兵するも、この地で進軍を阻まれ、高麗へのクーデターを決意して引き返して高麗を滅ぼし、朝鮮王朝を開いた。 

倭館[ウェグァン]

日本人居留地。釜山、乃而浦、塩浦の三カ所にあった。密輸や倭寇の寄港地ともなっており、江戸時代には釜山のみとなった。

外四山[ウェササン]

漢陽の周辺にある4つの山の総称。北漢山、龍馬山、徳陽山、冠岳山を指す。

外命婦[ウェミョンブ]

外で暮らす王族や王の親戚の娘と妻、及び両班の妻として夫の職品により封爵を受けた夫人の総称。 

院相[ウォンサン]

王が臨時に大臣に権限を与え、執政させる制度。

元子[ウォンジャ]

世子としての爵位を受けていない王の長男。 

右相[ウサン]

右議政の略称。

乙己士禍[ウルササファ]

1545年、第13代王である明宗の外戚にあたる尹元衡を中心とする小尹派が、鳳城君を推戴しようとした大尹派の尹任と彼に登用された士林派の重臣らを粛清した事件。

銀粧刀[ウンジャント]

銀でできた小刀。婦女子が護身用に持ち、身を汚されそうになった際にそれで命を絶って貞操を守るという教えがあった。

御医[オウィ]
王や王族の治療を行う医師。
獄事[オクサ]
王による大量粛清。
玉帯[オクテ]
王や官吏が公服を着用する際に締めた帯。絹に玉などの装飾品などをつ て作られている。 
御史出頭[オサチュルド]
暗行御史が自らの身分を明かして事件を処理する際の掛け声。
御真画師[オジンファサ]
王の肖像画を担当する絵師。
五台山[オデサン]
韓国北東部の江原道にある山並の総称。標高1563メートル。新羅以来の歴史のある名刹があり、1606年には『朝鮮王朝実録』を保管する史庫のひとつである五台山史庫が置かれた。
五方色[オバンセク]
万物は土・木・金・火・水の5種類の元素からなるという五行思想をもとにした黄、青、白、赤、黒の5つの色のこと。五行にはそれぞれ色と方位が定まっており、土は黄と中央、木は青(緑)と東、金は白と西、火は赤と南、水は黒と北を意味する。 
御筆[オピル]
王が自ら書いた文字。
オマママ
王族が母に対して使う言葉。 
御命[オミョン]
王の命令。
オランケ
朝鮮王朝が周辺民族を蔑んで呼んだ言葉。朝鮮では、契丹族、女真族、モンゴル族がオランケである。
翁主[オンジュ]
側室から生まれた王の娘のこと。
オンジュモリ
既婚女性の髪型のひとつ。頭の後ろで編んだ髪を前頭部で結い上げた型。


髪髢[カチェ]
髪を多く見せるために盛ったつけ毛。加髢。既婚女性の髪形だったが、上流階級の間で流行した。次第に大きさを競うように巨大化していったため、第21代王英祖の代に禁止された。 
カッ
男性の被り物。一年中着用した。日本の笠と同じように、日差しや雨を避けるために被られた。 
簡義[カヌィ]
天体を観測するための器具。軍天儀を簡略化し、より精度を上げたもの。 
甲申政変[カブシンジョンピョン]
朝鮮王朝末期の1884年、開化党の金玉均らが起こした政変。清軍の介入により、新しく建てられた政権は3日で倒された。
甲午士禍[カブジャサファ]
1504年に、第10代王・燕山君が生母である尹氏の賜死の真相を知り、賜死に関わった人物を大量に粛正した事件。 
甲午改革[カボゲヒョク]
1894年〜1895年に実施された朝鮮王朝の改革。 行政機構、六曹の再編、科挙や身分制度の廃止などが主な内容。
監察尚宮[カムチャルサングン]
女官の監察、取締りを行う尚宮。
伽耶[カヤ]
3世紀〜6世紀中頃の朝鮮半島中南部に存在した、複数の国家による小国家群。 
伽耶琴[カヤグム]
朝鮮の伝統的な弦楽器。 伽耶国から伝わったとされる。妓生の必修演目。 
伽耶山[カヤサン]
慶尚北道と慶尚南道の境にある標高1430メートルの山。統一新羅時代に建立された海印寺があり、高麗時代に製作された八萬大蔵経が収蔵されている。 
カラクチ
2つで1組の指輪。金や銀、玉などで作られる。
嘉礼[カレ]
王族の結婚式のこと。女官が入宮する時も王を夫とするが、王は出席しない。
諫官[カングァン]
王に対して諫言を行う官吏。 朝鮮王朝時代では司憲府と司諫院に所属していた。 
観相[かんそう]
人の顔つきや骨格などから運勢を判断すること。 
揀擇[カンテク]
王妃の候補者選び。世子が適齢期になると全国の高級官吏の娘で10〜14歳の女性に結婚禁止令が出され、生年月日や特徴による審査のもと、王妃の候補者が選定された。 


魏[ぎ]
中国の三国時代、曹操によって建てられ、最大勢力を誇った国。日本に「親魏倭王」の金印を贈った。『魏志東夷伝』には 日本について書かれた「倭人伝」のほか、朝鮮半島のことを伝えた「韓伝」もある。
妓生[キーセン]
宴会で歌舞伎音曲を担当した女性。宮中で歌や踊りを披露した。妓女も同義。 
己丑獄事[キチュコクサ]
1589年、東人の鄭汝立が反乱に失敗したことで、東人が粛正された事件。
契丹[きったん]
北方の異民族。10世紀に遼を建て、渤海を滅ぼすなど朝鮮族の脅威となるも、やがて衰退して女真族に取り込まれた。
気味尚宮[キミサングン]
王族の食事を毒見する尚宮。
己卯士禍[キミョサファ]
1519年、第11代王・中宗の信頼を得ていた士林派の趙光祖を中心とする急進的な若手官僚が、洪景舟ら勲旧派の中宗への上疏によって失脚させられた事件。
圭[キュ]
王や王妃などが、礼服を着用する際に持った笏。
奎章閣[キュジャンガク]
朝鮮王朝時代、第22代王・正祖が設立した王立図書館。現在は、ソウル大学に管理されている。
玉璽[玉璽]
王命書などに押印する、王の印鑑。王位を象徴するものという意味合いも強い。
教旨[キョジ]
王命や官吏の任免に関する文書。
撃毬[キョック]
馬にまたがったまま竹製の長い棒を使って、門の中に鞠を入れた数を競う遊戯。馬上の人物は攻撃してもいいが、馬は攻撃してはいけないなどのルールがあった。イギリスを発祥とする球技・ポロに似ている。
経国大典[キョングクテジョン]
朝鮮王朝時代、政治の基準になった法典。1470年に完成。吏典、戸典、礼典、兵典、刑典、工典の六典からなる。
敬徳宮[キョンドックン]
倭乱で焼失した都の再建のため、第15代王・光海君が建設した宮殿。西闕とも呼ばれる。第16代王・仁祖の代に完成し、第22代王・英祖の代で慶煕宮と改名。 
景福宮[キョンボックン]
朝鮮王朝時代、初代王・太祖が創設した宮殿。豊臣秀吉による1592年の壬辰倭乱により全焼する。
警務庁[キョンムチョン]
朝鮮王朝時代、1894年〜1896年の甲午改革により 捕盗庁に代わって新設された官庁。
経筵[キョンヨン]
王が学者を招いて、歴史や儒教について講義を受けること。

寡人[クァイン]
王が自分のことを謙遜して自称する時の呼称。 
科挙[クァゴ]
官吏の登用試験。3年に一度実施。朝鮮では、高麗時代、朝鮮王朝時代に実施された。最終試験である大科の合格を目指して勉強する場が成均館。朝鮮王朝末期には不正が横行し, 1894年、科挙制度はその幕を閉じた。
冠岳山[クァナクサン]
ソウル市南部にある標高632メートルの山。外四山の南にあたる。
官妓[クァンギ]
国が妓生庁で管理する妓生。歌舞音曲に優れ、公式行事や外交の場での接待係として活躍した。妓生の中では最高の位である、一牌妓生。
観察使[クァンチャルサ]
道ごとに任命された監察官。地方長官として強大な権限を持った。
官奴[クァンノ]
官庁で抱えている男の賎民。女性は官婢。
官服[クァンボク]
朝鮮王朝時代、官僚が宮中で執務する時に着ていた服。階級によって色が変わり、位の高いものから順に赤、青、 緑の官服を着ていた。
貴人[クィイン]
後宮内の序列では第2位の側室。従一品で、子を生むなど功績があると嬪に昇格。 
鬼神[クィシン]
超人的な能力を持ち、人や死者の魂に災いをもたらす悪鬼
帰郷[クィヒャン]
罪人を自分の故郷以外の辺境地、離島などに送る刑罰。
九月山[クウォルサン]
現在の黄海道にある標高954メートルの山。檀君が天に昇った地と伝えられている。1562年に、政府 に反乱を起こした義賊の林巨正がこの地 で捕らえられた。
捲堂[クォンダン]
成均館の学生による集団ボイコット。 
国葬[ククサン]
王や王子などが死去した際に、全国民が喪に服し、国家を挙げて行われる葬儀。 
九章服[クジャンボク]
王が公式行事で着用する礼装。着衣に龍や火、山など9種類の章文をあしらい、9つの玉がついた9本の 紐を前後に垂らした冠を被る。 
九節板[クジョルバン]
中央にミルチョンビョンと呼ばれる小麦粉をクレープ状に焼いたものを置き、周囲の8つの仕切りに錦糸卵、野菜、肉類、魚類などを盛りつけた宮廷料理の一種。中央のミルチョンビョンで周りの具材を巻いて食べる。
九楪飯床[クチョプパンサン]
上流階級の家で出された9種類のおかずの総称。 
国婚[クッコン]
王や王子などが婚姻をした際に、国を挙げて行われる婚礼。
クッパ
スープご飯。スープにご飯を混ぜて食べる雑炊のような料理。
九尾狐[クミホ]
美女に変身すると伝えられ る妖怪。殷滅亡の原因となった妲己や、日本の玉藻の前など、日中韓を通して伝えられる。
金剛山[クムガンサン]
現在の江原道(北朝鮮側)にある山。最高峰の毘盧峰は標高1638メートル。古くから白頭山と並ぶ名山とされてきた。多くの別名があり、「金剛山」は春の名称だが、夏は風光が爽やかなことから「蓬莱山」、秋は燃え上がる紅葉の美しさから「楓嶽山」、冬は岩肌がむき出しになる様子から「皆骨山」と呼ばれた。歴史上では、935年に高麗に降服した新羅最後の王·敬順王の息子·麻衣太子が皆骨山に入り、麻の衣を着て、草を食べて生涯を終えたとされる。
禁軍庁[クムグンチョン]
王を警護する親衛隊を統括する部署。兵曹の一部だったが独立した部隊を抱えていた。 
今上[クムサン]
現在統治している王のこと。 
金絲未断[クムサミダン]
女官が王宮に入る際などに行われた儀式。オウムの血を手首に垂らし、血が垂れ落ちなければ処女であ るとされた。
禁府[クムブ]
謀反人、政治犯などの捜査·逮捕を行う王直属の機関。義禁府の前身。
禁婚令[クモンリョン]
揀擇(王子の妃選び) のために貴族の婚姻を一時的に禁止すること。
宮中飲食[クムジュンウムシク]
朝鮮王朝の王たちがとる食事。全国から進上される名産や漢方薬材などで作られた。
宮女[クンニョ]
宮殿で王族に奉仕する女性のこと。内人ともいう。最も位が高いのが尚宮。
宮合[クンハプ]
男女の生年月日を五行に当てはめて、相性を占うこと。または、相性のこと。
国巫[クンム]
国が抱えている巫女(占い師)。星宿庁に所属して国の未来を占い、繁栄を祈願する。 
鞠問[クンムン]
反逆罪などの重罪人に対して、拷問を加えながら行う尋問。

継妃[ケビ]
王の後妻。正妃が亡くなった場合に新たに迎えた妃。正妃であり側室より立場は上。
開京[ケギョン]
高麗の首都。現在の開城(北朝鮮)。
開化党[ゲファダン]
朝鮮王朝末期において、日本の近代化にならい、社会の改革と近代化を図ろうとした一派。清の属国状態から独立することを目的とし、急進開化派とも呼ばれた。
癸酉靖難[ケユジョンナン]
第6代王・端宗の即位1年後である1453年に王の叔父にあたる首陽大君が、王を補佐して政治を主導していた皇甫仁、金宗瑞ら重臣を殺害して政権を奪取したクーデター事件。
鶏龍山[ケリョンサン]
忠清南道から大田にかけて位置する標高845メートルの山。朝鮮時代の予言書『鄭鑑録』には、王朝が 滅びた後、鄭氏が鶏龍山に、「都を置いて王朝を開く」という記述がある。
元[げん]
大元帝国。中国とモンゴル高原を中心に存在した国。1271年〜1368年。モンゴル人のキャト・ボルジギンが建国した。1206年、チンギス·カンがモンゴル高原で部族を統一して樹立した蒙古に端を開く。1271年に国号を元に改名。

後金[フグム]
女真族が17世紀前半に建てた国。中国の明を滅ぼし朝鮮にも侵攻後に清国となって朝鮮を属国とした。
高句麗[コグリョ]
中国東北部南部から朝鮮半島北中部に存在した国家。紀元前37年〜668年。伝説上の始祖は、東明聖王(朱蒙)。首都は平壌。高句麗、新羅、百済が鼎立した4世紀から7世紀にかけて三国時代と呼ぶ。
高麗[コリョ]
朝鮮半島に存在した国家。918年〜392年。始祖は王建。華やかな貴族文化と仏教文化を誇り、12世紀には武臣政権が成立した。
高麗史[コリョサ]
朝鮮王朝前期に高麗時代について編纂された史書。 
高麗青磁
中国の影響を受け、主に高麗時代に作られた青磁器。鉄分を含んだ釉薬によって緑がかった青色になる。12世紀頃に最盛期を迎えた。
後百済
後三国時代、新羅の武将から独立した甄萱によって建てられた国。新羅を滅亡に追い込むも高麗に併合された。
後高句麗
後三国時代、新羅王族だった弓裔によって建てられた国。後三国時代で最大勢力を誇り、高麗、摩震、泰封と改名したが、弓裔の部下だった王建のクーデターにより消滅。高麗王朝へと引き継がれた。
巨擘[コビョク]
本来は優れた人のことを指すが、科挙を代わりに受ける(替え玉受験)という意味で使われる。
剣契[コムゲ]
王朝や両班などに反感を抱く賤民たちによる秘密組織。
骨品制[コルプムジェ]
新羅時代、王都でのみ導入された、氏族の序列をつけるための身分制度。王の直系親族である聖骨、そのほかの王族と貴族である真骨、さらに、六頭品、五頭品、四頭品、平民と区別された。
袞龍袍[コルリョンボ]
朝鮮王朝で王が着用する正服。背中と肩に龍の刺繍があり、王の龍は五爪で服の色は赤、世子の龍は四爪で 青と決まっていた。
公主[コンジュ]
王女のこと。三国時代から使われる用語だが、朝鮮王朝時代から正室の王妃が生んだ娘のことを指すようになる。側室が生んだ娘は翁主。
工曹[コンジョ]
六曹のひとつで、朝鮮王朝時代建設業や商工業に関する業務を担当した官庁。
功臣[コンシン]
王のために功績を挙げた臣下。
貢女[コンニョ]
周辺国が皇帝に貢物として若い女性を捧げること。
貢物[コンムル]
属国が宗主国に提供する物品。また、民が国家に税として納める特産品のことも指す。

謝恩使[サウンサ]
即位した属国の王が、宗主国への挨拶のために派遣する使者。朝鮮時代はまず明、続いて清国に朝貢していた。
司甕院
朝鮮王朝時代、宮中の食材を取り扱った官庁。
賜暇読書[サガドクソ]
朝鮮王朝時代、優秀な若い文官を対象に与えられた研究休暇。
司諫院[サガンウォン]
朝鮮王朝時代、王に対して進言を行った官庁。三司のひとつ。絶対君主である王を諫める役割を担った。長 官は大司諫。
沙器匠[サギジャン]
陶工。朝鮮王朝時代、王族が食事の際に使う白磁は司饔院の分院で沙器匠たちが作った。
四象医学[ササンウィハク]
朝鮮王朝時代末期の医師・李済馬が提唱した医学説。人間を4つの体質に分類し、それぞれに合った治療や処方をするという考え方。
四柱[サジュ]
生まれた干支・年・月・日・時間に基づいて人の命運を占うこと。
四柱単子[サジュタンジャ]
生年月日や身体的な特徴、一族の履歴などの記録。士大夫階級の娘は、王世子が妃を選ぶ揀擇の際にこれを提出しなければならなかった。
写手[サス]
答案の代筆人。
賜饌[サチャン]
王が下位のものに飲食を与えること。また、その飲食物。
謝氏南征記[サッシナムジョンキ]
第19代王・粛宗の時代に政治家で文人の金萬重によっ て書かれた小説。妾の言葉を信じて正妻を追放した貴族が、実は妾にだまされていたという内容で、粛宗の中殿であった仁顕王后を廃位させて張禧嬪を王妃に迎えることに反対したために、朝鮮半島南部沖合の南海島に流刑となった作者が王を批判する意図で書いたとされる。ハングルで書かれて民衆に広まり、後に漢訳されて上流階級にも広まった。
事大党[サデタン]
→守伯党。
士大夫[サデブ]
朝鮮王朝における貴族階級。両班と同義だが、主に文官職に就く男子を指す。
使道[サト]
中央から郡や県に派遣された官吏。観察使の下で各地の行政を担当した。守令ともいう。
士禍[サファ]
朝鮮時代に行われた士大夫に対する粛清。儒家同士の派閥争いから引き起こされることが多いが、燕山君の甲子士禍は派閥に関係なく処刑された。
司憲府[サホンブ]
朝鮮王朝時代、官吏の違法行為を監視した官庁。三司のひとつ。長官は大司憲。
三角山[サムガクサン]
北漢山の旧称。
三国史記[サムグクサギ]
1145年、高麗第17代王・仁宗の命を受けて儒学者の金富軾らが作成した官撰の史書。
三国遺事[サムグクニュサ]
13世紀末の高麗時代、高僧の一然によって書かれた私選の史書。
三年喪[サムニョンサン]
父母が死んだ際に、3年間、喪に服すこと。
三別抄[サムピョルチョ]
高麗時代、武臣政権の後期に設置された特殊部隊。元に対して独自の抵抗を続けた。
三覆[サムボク]
高麗·朝鮮王朝時代に、死罪にあたる罪人に対して誤りがないよう、3回まで審理を受けられる制度。
三法司[サムポプサ]
司法を司る3つの官庁(司憲府、漢城府、刑曹)の総称。
賜薬[サヤク]
王の命により、臣下や妃が毒薬を飲み自殺すること。(王より)毒薬を賜るという意味。通常の死刑よりは恩情のある刑罰とされる。
死六臣[サユクシン]
朝鮮第7代王・世祖に王位を奪われた第6代王・端宗の復位を図り処刑された6人の忠臣(成三問、朴彭年、河緯地、李塏、兪応孚、柳誠源)。後年、その忠義が称えられた。
司訳院[サヨクウォン]
朝鮮王朝時代、周辺国家について研究し、外交に必要な通訳・翻訳を担当した官庁。
士林派[サリムパ]
朝鮮王朝第11代王・中宗の時代に、一大勢力となった政治派閥。地方の知識人が中心で、保守系の勲旧派と 対立していた。第14代王・宣祖の時代に、東人派と西人派に分かれる。
殺生簿[サルセンブ]
反乱や政変の際、殺害する人物の名前を書き入れた文書。癸酉靖難で韓明澮が作成したものとして知られる。
尚衣院[サンイウォン]
王宮内で王の衣服や装飾品などを製作・管理する部署。
上監媽媽[サンガムママ]
王に対する敬称。
三跪九叩頭[さんききゅうこうとう]
臣下が清の皇帝に対して行う、絶対服従を示す礼法。一度ひざまずき、額を3回地面に打ちつけ、それを3度繰り返す。
尚宮[サングン]
朝鮮王朝時代、内命婦に属し,宮中に使えた宮女の最高位。品階は正五品で、宮女として15年以上働くことが条件。
尚膳[サンソン]
内侍府の最高位にあたる、従二品の官職。
商団[サンダン]
商人の集団。大規模な商団の長を大房、中規模な商団の長を都房、商取引の重要な責任を負う人物を大行首と呼んだ。
常平通宝[サンピョントンポ]
朝鮮第16代王・仁祖の時代に鋳造された貨幣。銅製。円形で中心は四角にくりぬかれ、穴の周囲には「常平通宝」の文字が刻まれていた。
常民[サンミン]
朝鮮王朝時代の身分のひとつ。中人と賤民の間に位置する一般庶民階級。科挙を受ける資格を有していたが、実質的には経済的な理由などから試験を受けられなかった。衣服は白のみと定められていた。
喪輿[サンヨ]
棺を輿に載せて、墓まで運ぶこと。または、その隊列のこと。
上王[サンワン]
譲位した王に対する尊号。太祖、定宗、太宗、瑞宗は上王となった。 

侍講院[シガンウォン]
朝鮮王朝時代、世子や世孫を教育した官庁。世子侍講院ともいわれる。 
賜死[しし]
王によって死を命じられること。死刑より恩情があるとされ、多くは身分の高いものに賜薬を送って自殺させた。
時調[シジョ]
高麗時代末期に成立し、朝鮮王朝時代に流行した定型詩。3章6句の45字で構成され、三四調、もしくは四四調が基本。朝鮮王朝時代中期以降に特に流行し、身分を問わず幅広く詠まれた。時調 は「時節歌調」の略称で、流行歌の意味。
事大主義[じだいしゅぎ]
大国の後ろ盾を得て支配力を強化すること。朝鮮半島では伝統的に中国の支配者を宗主国として、内外への影響力を誇示した。しかし、元から明、明から清への転換期に、どちらに従うかで混乱が起きた。
辛亥通共[シネトンゴン]
朝鮮第22代王・正祖が実施した自由な商業政策。これにより経済の活性化が図られた。
慎言牌[シノンペ]
朝鮮第10代王・燕山君が、自身への諫言を疎んじて官吏たちの首に下げさせた札のこと。
時派[シパ]
少論派から派生した儒教の一派。第22代王・正祖の父である思悼世子の死に対して同情的で、キリスト教の受け入れにも寛大な穏健派。正祖の支持派閥となる。 
十二楪飯床[シビチョプパンサン]
王の食事で出された12種類のおかずの総称。1日5回の食事のうち、朝食と夕食で出された。
沈清伝[シムチョンジョン]
朝鮮王朝時代後期に成立したとされる古典小説。目の見えない父のために、娘が海に身を投げ、竜王の妃になるという物語。 
周[しゅう]
古代中国の王朝。軍師の太公望を得て殷王朝を倒し、700年以上続いた。ただし、後期の春秋・戦国時代には没落して小国を支配するに留まった。
儒教[じゅきょう]
孔子の教えを核として、それを受け継ぐ儒者たちによって体系化された教え。朝鮮王朝の基本理念として採用された。序列や形式に厳しく、自分の身分以上(または以下)の意識や行動は戒められた。また、目上のものを敬うなど、儒教の精神は現在の韓国にも受け継がれている。
巡幸[じゅんこう]
王が様々な地方に出かけること。
女真[じょしん]
満州から朝鮮半島北部までのこと。または、その一帯の異民族。満州近辺に居住していた黒水靺鞨の系統。
新羅[しらぎ]
朝鮮半島南東部に存在した国家。356年〜935年。伝説上の始祖は、赫居世。首都は金城(慶州)。韓国語の発音は「シルラ」。新羅、百済、高句麗が鼎立した4世紀から7世紀にかけて、三国時代と呼ばれる。新羅が朝鮮半島をほぼ統一した677年以降を統一新羅時代と呼ぶ。
実学[シルハク]
儒学のひとつだが、伝統を重んじる性理学とは違い、より現実と向き合い、実用的な学問のこと。丁若鏞は、朝鮮王朝を代表する実学者。
清[しん]
16世紀末、女真族の弩爾哈赤が建てた後金が、息子の皇太極の代で改名。王姓は愛新覚羅氏朝鮮の宗主国となり、1912年まで続き、辛亥革命で滅亡した中国最後の統一王朝。
神仙炉[シンソルロ]
しゃぶしゃぶ鍋に似た、中央に穴の空いた鍋。また、その鍋を使った料理。肉や魚、野菜などの材料を鍋の形に合わせて切り、牛肉スープで煮て食べる。
申聞鼓[シンムンゴ]
民が宮殿前にある太鼓を叩き、役人を通さず王に直接、進言することができる制度。朝鮮第3代王・太宗が制定した。 

水原華城[スウォンファソン]
朝鮮第22代王・正祖が、老論派の陰謀により餓死させ られた父の思悼世子を祀るために建てた城。 5キロに及ぶ城壁に囲まれている。設計には当時の実学者・丁若鏞が携わっている。1997年、世界文化遺産に登録された。
淑媛[スグォン]
王の側室のうち従四品の称号。 
熟手[スクス]
宮中の宴で料理をふるった男性料理人のこと。待令熟手ともいう。
守旧党[スグダン]
朝鮮王朝末期において、清との従属関係を保ちながら緩やかな近代化を目指そうとした一派。旧来の伝統を 守り.事大党とも呼ばれた。
水軍節度使[スグンチョルトサ]
指揮する将軍。最上位は道の観察使が兼任し、左右水使が補佐する。李舜臣は、全羅左水使から、水軍全体の指揮権を持つ水軍統制使にまでなった。 
スゲチマ
上流階級の女性が外出する際に被ったチマの一種。 
寿昌宮[スチャングン]
高麗時代に建てられた宮殿。朝鮮時代になっても王宮として使われ、第3代王・太宗もここで即位した。
繍房[スバン]
女官の部署のひとつ。王の礼服や寝具、屏風などに施す刺繍全般を担当する部署。
水刺間[スラッカン]
王と王妃の食事を作る厨房のこと。
垂簾聴政[スリョムチョンジョン]
王が幼い場合、王に代わって大妃や大王大妃が摂政を執ること。王の玉座の後ろに御簾を垂らし、大妃などはその奥に座っていたため、このように呼ばれた。
守令[スリョン]
高麗から朝鮮王朝時代において各地方に派遣された地方官の総称。
承恩[スンウン]
女官が王の寵愛を受け、肉体関係を結ぶこと。
承恩尚君[スンウンサングン]
王の手のついた女官。一度でも王からの寵愛を受けると身分にかかわらず正五品の尚宮となる。ただし、子を生むなどの功績がないと側室にはなれなかった。
巡検[スンゴム]
捕盗庁に代わって朝鮮時代末期に設立された警務庁の役人。ソウル市内の警備と事件捜査を担当。現在の刑事。
承政院[スンジョンウォン]
朝鮮時代、王の政治の事務処理を行った官セ

色掌[セクチャン]
成均館の学生の副代表。
世子[セジャ]
王の息子で、王位後継者になった者のこと。王世子、東宮ともいう。通常は長男が世子になるが、朝鮮第4代王世宗のように、三男が世子になることもあった。
世子嬪[セジャビン]
世子の妻。王世子嬪ともいう。
世弟[セジェ]
王の弟で、王位後継者になった者のこと。王世弟ともいう。
洗水間[セスガン]
女官の部署。木製のたらいで沐浴できるようにしたり、痰つぼや便器などの掃除を担当する部署。
世孫[セソン]
王の孫で、王位継承者になった者のこと。
洗踏房[セダプバン]
女官の部署。洗濯や布地の染色などを行う部署。
勢道政治[セドチョンチ]
王の信頼を得た官吏が政治を行うこと。
センガクシ
幼い見習い女官。女官になる際は形式的な婚礼を挙げるが、まだ婚礼を挙げていないものを指す。

昭儀[ソイ]
後宮内の序列では第3位の側室。品階は正二品。 
書芸[ソイェ]
毛筆で文字を書く芸術。書道。
西人派[ソインパ]
朝鮮第14代王・宣祖の時代に、士林派から分裂した政治派閥。東人派と対立後、老論派と少論派に分かれる。
宋[そう]
10世紀末の中国で趙匡胤が建てた王朝。13世紀に女真族の金によって南に追いやられ、南宋として存続するも、さらに北方のモンゴル帝国に滅ぼされた。
書院[ソウォン]
地方に設置された私設の教育機関。衰退した郷校に代わって台頭した。
小円盤[ソウォンバン]
王が食事をする際に大円盤の脇に添えられた小型の食膳。 
庶孽禁錮法[]
両班の子孫のうち、庶子は高位の官職に就けないようにする制度。 
昭格署[ソギョクソ]
朝鮮王朝時代、土俗信仰を基盤とした祭祀を行った官庁。 
粟末靺鞨
中国東北部に居住する靺鞨族のうち、高句麗に隣接する粟末部に居住していた部族。大祚栄の出自は粟末靺鞨だったといわれ、高句麗流民とともに渤海を建国した。
庶子
婚姻関係にない両親から生まれた子ども。
焼厨房
女官の部署主の日常食を調理するところ。
書堂
高麗末期より、両班の子どもに漢文を教えた私塾。
薯童謠[ソドンヨ]
世紀末頃に作られたとされる最古の郷歌。13世紀末に1 の高僧、一然によって書かれた史書『三国遺事」に登場し、百済第30代王・武王が新羅第26代王・真平王の三女である善花公主を妻にするために詠んだとされる。
西海[ソヘ]
朝鮮半島と中国の間にある海域。韓国での正式名称は黄海だが、一般的に西海と呼ばれる。
小白山[ソベクサン]
忠清北道と慶尚北道の境にある標高1440メートルの山。
素服
喪服として用いられた白い服。
雪嶽山
韓国北東部の江原道にある山並の総称。最高峰である大青峰は標高1708メートル。花崗岩でできた切り立った峰が連なり、常に雪が積もっているように見えたことからその名がついたとされる。
少論派[ソロンパ]
朝鮮第19代王・粛宗の時代に、西人派から分裂した政治派閥。老論派と対立。
成均館[ソンキュングァン]
高麗末期と朝鮮時代の最高教育機関。科挙の文科試験 のひとつ、小科に合格すると入学できる。
聖骨[ソンゴル]
新羅の身分制度である骨品制の最高位で、両親ともに王族の身分 
星宿庁[ソンスチョン]
朝鮮時代、王室における巫俗儀式のために設けられた官庁。
松都[ソント]
現在の開城(北朝鮮)。高麗時代は、開京という地名で首都だった。黄真伊は16世紀に松都に住んだとされ、徐敬徳(儒学者)、朴淵瀑布と黄真伊を合わせて、「松都三絶」(松都が誇る3つの優れたもの)と呼ばれる。
俗離山
忠清北道と慶尚北道の境にある標高1058メートルの山。653年創建の法住寺がある。癸酉靖難の際に逃げ延びた金宗瑞の孫の金次同と世祖の娘の世嬉がこの地に隠れ住んだといわれている。
ソンビ
学識に優れているが、官職には就いていない人に対する呼称。特に、高麗、朝鮮時代においては儒教的理念を具現化しようとした人のことを指す。
成服[ソンボ]
葬儀の際、最初に喪服を着ること。通常は、儒教の五服制に従って、亡くなってから4日後に初めて喪服を着用する。 


タウンモリ
結婚前の子女の髪形髪を額で左右に分けて耳にかけ、後ろで三つ編みにした型。髪の先にはテンギという布をつけた。
耽羅[タムナ]
現在の済州島の古称。
茶母[タモ]
宮中でお茶汲みをする女性の総称。庶民階級から選ばれた。
唐衣[タンイ]
上流階級の女性が着た礼服の一種。宮中では日常の衣服としても用いられた。
檀君神話
韓国の神話。韓国初の民族国家とされる古朝鮮を築いた檀君の誕生や建国の物語が描かれている(現在の韓国でも毎年10月3日は檀君神話に基づく建国記念日「開天節」として、祝日になっている。 )
堂上官[タンサングァン]
正三品堂上官以上の品階を持つ官吏の総称。
断石山[タンソクサン]
慶尚北道にある標高827メートルの山。三国時代には中嶽とも呼ばれ、新羅の名将金庾信が武芸の修行をした場所として知られる。
丹青[タンチョン]
建物に五方色、五方正色と呼ばれる黄、青、白、赤、黒を基本とした様々な色で絵や紋様を描いたこと。または、絵やその紋様、色彩、その色彩の元となる顔料のこと。
堂下官[タンハグァン]
正三品堂下官以下の品階を持つ官吏の総称。
蕩平策[タンピョッチェク]
対立する両派閥どちらからも人材を登用し、才能による登用を目指した第21代王・英祖による派閥均衡政策。

雉岳山[チアクサン]
江原道にある標高1288メートルの1000メートルを超える高峰の間に険しい渓谷があり、古くから険しく美しい山として名高い。
才人[チェイン]
賎民の中でも踊りや軽業などで生計を立てる芸人。正業として扱われなかった。
祭祀[チェサ]
先祖の霊を祀る儀式儒教を国家理念とした朝鮮王朝時代は先祖を敬うことが最重要視されたため、命日や正月盆には祭祀が行われた。祭祀の行事は現在でも行われている。
祭祀床
日本の法事にあたる祭祀の際に、供え物を並べた膳。特別な食べ 物を大量に並べて、祭祀が終わると親族な どと分け合って食べる。
済衆院[チェジュンウォン]
朝鮮王朝末期、アメリカ人医師のH·N·アレンが設立した病院。朝鮮で初めて西洋式医療を行った。
提調尚宮[チェジョサングン]
朝鮮王朝時代、宮廷にいる数百人の宮女を統括した最高責任者。正五品だったが王の側近だったため、その権威は、正一品の領議政にも劣らず、政治の裏側を取り仕切るほどの実力があったとされる。
集賢殿[チッピョンジョン]
学問研究のための官庁。一時、有名無実化するが、朝鮮王朝第4代王・世宗が復活させる。
チマ
女性用の下衣。スカートに似て裾が大きく広がる。
至密[チミル]
女官の部署。王の身の回りの世話を取りしきる部署で、高位の女官が配属される。至密は見聞きしたことは一切漏らさないという意味。
針房[チムパン]
女官の部署。針母たちにより、王宮で使われる王や王妃の衣服、寝具などの裁縫一切を担当する部署。
左議政[チャウィジョン]
朝鮮時代、領議政・右議政とともに官吏の統制と財務を担当する。右議政より地位は上だった。左相ともいう。
差使
重要な任務を受けて派遣される官吏。
参判[チャムパン]
六曹の次穹品階は従二品。
讒言
他人をおとしめるために、事実を曲げたり、ありもしない事実を作り上げて、その人を悪く言うこと。
掌楽院[チャンアグォン]
朝鮮王朝時代、宮廷内の音楽を担当した官庁。
昌徳宮[チャンドックン]
1592年の壬辰倭乱により、景福宮が焼失したため、長い間、王宮として使用された。左東闕ともいう。1997年,世界文化遺産に登録された。
主上[チュサン]
君主に対する呼称のひとつ。
春香伝
朝鮮王朝時代後期に成立したとされる古典小説。身分違いの恋や勧善懲悪などの要素が詰め込まれた物語
推奴[チュノ]
朝鮮王朝時代、最下層の身分に属していた奴婢の中でも、主人から逃亡した奴婢を追跡し捕らえることを生業にしたもの。
酒令具
三国時代の新羅にて宮中の宴席で使用された遊具、余興のひとつ。
出宮[チュルグン]
王宮の外に出ること。妃や側室の座を剥奪されたり、女官を罷免されたりする場合にも使う。
中嶽[チュンアク]
三国時代の断石山の名称。611年に金庾信が中嶽の石窟で三国統一を志したところ、不思議な老人が現れて秘 法を授かったとされる。
中人[チュンイン]
朝鮮王朝時代の身分のひとつ。両班と常民の間にあった身分階級。科挙を受ける資格を有し、医官や技術職の官吏で形成された。
中宮殿[チュングンジョン]
朝鮮王朝時代に王妃が暮らした宮殿。
中殿[チュンジョン]
王妃に対する呼称のひとつ。王妃が暮らす中宮殿が省略された形。
春秋館
朝鮮王朝時代、王の生活や政を記録した官庁。
祝霊山[チュンニョンサン]
京畿道にある標高879メートルの山。
朝鮮[チョソン]
朝鮮半島に存在した王朝。1392年〜1910年。 始祖は、李成桂(太祖)。首都は漢城。儒教を国家理念とし、この時代の文化が現代韓国の基盤となっている。
翟衣
朝鮮王朝時代、王妃が婚礼や冊封式の際に着用する最も格式の高い礼服。
チョクチンモリ
既婚女性の髪形のひとつ。頭の後ろでまげを結い、布とかんざしで固定した型。高貴な女性のみ、短めのかんざしで装飾を施した。
チョクトゥリ
女性が婚礼の際に被った被り物。
族譜
祖から始まり、当代に至るまでの一族の系譜が記された文書。
朝鮮八道[チョソンパルド]
朝鮮王朝時代の8つの道(行政区分)のこと。京畿道、忠清道、慶尚道、全羅道、江原道、平安道、黄海道、咸鏡道があり、地方行政を行った。
朝鮮王朝実録[チョソンワンジョシルロク]
朝鮮初代王・太祖から第27代王・純宗に至るまでの518年間の歴史を編纂した実録。当時の政治、外交、軍事、法律、経済 交通、風俗、美術、宗教などがまとめられている。1997年、世界記録遺産に登録された。
殿下[チョナ]
王の呼称。
典獄署[チョノクソ]
朝鮮王朝時代の刑曹に所属する役所。罪を犯した囚人たちを拘束し、刑を執行した。
邸下[チョハ]
世子・世孫の呼称。
チョブチモリ
宮中の女性たちの礼装時の髪形”チョクチンモリ”の前髪部分にチョプチという髪飾りをつけ、毛で固定した。
チゲ
野菜や魚介類などを小麦と卵に 混ぜて焼いた料理。日本ではチヂミという呼び方が一般的だが、これは慶尚道で話される東南方言に由来するもので、韓国ではあまり使用されない。
伝教
王や王妃が命令を下すこと。また、下された命。
チョンゴル
細かく切った肉を味つけし、野菜と一緒に少量のスープで煮ながら食べる鍋料理。
従事官[チョンサグァン]
朝鮮王朝時代、警察機関である捕盗庁に置かれていた役職。
殿式
科挙の最終試験。王の前での面接試験で、甲乙丙の三段階に成績が分けられた
靖難[ジョンナン]
混乱した国家を安定させるために起こす戦乱。また、国家に安定をもたらすこと。
宗廟[チョンミョ]
朝鮮王朝歴代王や王妃、王族の位牌が祀られている廟。1995年世界文化遺産に登録された。現在でも毎年5月の第一日曜日に、王の末裔にあたる全州李氏の一族の人々が集まり、宗廟祭礼祭が行われている。
丁卯胡乱[チョンミョホラン]
1627年に後金(後の清)のホンタイジが侵攻した事件。この9年後の1636年には清の侵攻による丙子胡乱が起こった。
賤民[チョンミン]
朝鮮王朝時代の身分のひとつで、最下層の階級。奴婢、白丁、妓生、僧侶などで形成された。
丁酉再乱[チョンユジェラン]
1597年、豊臣秀吉の第二次朝鮮出兵。慶長の役のこと。第一次出兵は、1592年の壬辰倭乱(イムジンウェラン)。
智異山[チリサン]
全羅北道、全羅南道、慶尚南道の境にある標高1915メートルの山。かつて山岳信仰の聖地であったほか仏教の聖地でもあり、韓国三大寺院に数えられる華厳寺などがある。また、現在も朝鮮王朝時代の生活様式が守られている青鶴洞道人村がある。
七支刀
長い鉾の両側に三本ずつの枝刃のついた鉄剣。中国製で、百済の近肖古王から日本に贈られたとされる。現在は、国宝として石神神宮が所蔵。
朕[チン]
元に服属する以前の高麗までにおける、王の一人称。 
真骨[チンゴル]
新羅における王族の血を引くもの。真骨でない者は高位の官位には就けなかった。両親とも王族の場合を聖骨と呼んだ。
進士
科挙の一次試験合格者。成均館に入学を許された学生のことを指すようになった。
辰砂
硫化水銀からなる鉱物。中国の辰州(現在の湖南省近辺)で多く産出されたことからその名がついた。古くから漢方薬や赤色の顔料として用いられた。 

大院君[テウォングン]
直系でない国王の実父に与えられた称号。一般的には、朝鮮王朝第26代王・高宗の実父である興宣大院君のことを指す。
大円盤[テウォンバン]
王が食事をする際に王の前に置かれた大きな朱塗りの食膳。
大監[テガム]
朝鮮王朝時代、正二品以上の高位の役人に使用されていた敬称。名前や役職の後につけて(-)大監」と呼ばれた。
太極[テクク]
陰陽の二元が生ずるとされる万物の根源。
大君[テグン]
正室が生んだ息子のこと。側室が生んだ息子は君と呼ぶ。
大司憲[テサホン]
朝鮮王朝時代の役人たちを監察する官庁。司憲府の長官。
対食[テシク]
同性愛を意味する隠語。本来は女官が家族や知り合いを宮中に呼び食事をする制度のことを指した。 
太祖
朝王朝の始祖に使われる号。高麗の太祖は王建。朝鮮王朝の太祖は李成桂。
大殿[テジョン]
王が暮らす寝所や宮殿のこと。王自身のことを指す場合もある。
大殿尚宮[テジョンサングン]
王の最も身近で補佐をする尚宮。王の居所である大殿に仕える。
大殿内官[テジョンネクァン]
王が暮らす大殿に仕える内官で、品階は従二品。
大首[テス]
王妃が式典などで着用する特大のカツラ。重さは10キロ以上にもなり、王妃以外は許されなかった。
退膳間[テソンガン]
女官の部署。王の食膳 (水刺床)を整えて、さげる部署。 
大妃[テビ]
先代の王妃のこと。
太平館[テピョングァン]
朝鮮王朝時代、明の使節をもてなした施設。
太白山[テペクサン]
江原道と慶尚北道の境にある標高1567メートルの山。頂上に は古くから空に祈りを捧げた祭壇がある。 
大明律[テミョンリュル]
明の基本的な刑法典。朝鮮王朝はこの法典にならって制度を作った。
代理聴政[テリチョンジョン]
王が高齢となり政務が難しくなった場合に、王世子が代わりに政治を行うこと。
大王大妃[テワンテビ]
先々代の王妃であり先代の王の母親のこと。王室最高位であり王室の象徴だった。
テンギ
女性がおさげ髪の先につけたリボン。

徳陽山[トキャンサン]
高陽市にある標高124メートルの山。外四山の西にあたる。壬辰倭乱で秀吉軍に大勝した幸州大捷の舞台となった幸州山城がある。
独対[トクテ]
家臣が王と2人だけで意見を伝えたり相談したりすること。
道士[トサ]
道教の修行を行うもの。転じて道術使い。田禹治(チョン・ウチ)が有名。
吐含山[トハムサン]
慶州の東部にある標高745メートルの山。世界遺産の仏国寺、石窟庵がある。
図画署[トファソ]
朝鮮王朝時代、絵で朝廷内の行事き記録した部署。
トリョンニム
坊ちゃんという意味。召使が若君に対して使うことが多い。
トルジャム
上流階級の女性が礼装時に用いた髪飾り。オヨモリやクンモリをする際、前の分け目の中心と両側に差して使われた。丸形や角形などの玉の板に宝玉きつけ、細いバネの先に鳥や花をかたどった飾りがついている。 
東医宝鑑[トンイポガム]
朝鮮王朝第14代王・宣祖の命により、医学者の許浚によってまとめられた医学書。1613年に刊行。東アジアの医学が体系的に整理されている。2009年世界記録遺産に登録された。
東人派[トンインパ]
朝鮮王朝第14代王·宣祖の時代に、士林派から分かれた政治派閥。 同じく士林派から分かれた西人派と対立。後に、北人派と南人派に分かれる。 
東宮[トングン]
世子の別称。彼らの住んだ宮殿が王宮の東側にあったことに由来する。世子が住む宮殿自体を現す言葉でもある。
東海[トンヘ]
朝鮮半島東側の海域で、日本海と同じ海域を指す。


内人[ナイン]
高宮の下で実務を担当する女官。
ナウリ
目上の男性に対する一般的な尊称。正三品の堂下官以下の品階を持つ官吏への敬称。
駱山[ナクサン]
ソウル市にある標高125メートルの山。内四山の東にあたる。
羅将[ナジャン]
朝鮮王朝時代、義禁府の下にあり、罪人の護送や処刑を担当した下級官吏。
南漢山[ナマンサン]
ソウルの南にある山。清の侵攻時、仁祖はこの地に築いた南漢山城に籠城したが、45日目に降伏した。
南人派[ナミンパ]
朝鮮王朝第14代王・宣祖の時代に、東人派から分かれた政治派閥。北人派と対立。西人派を排除して政権を握るが、西人派から分かれた老論派と少論派を前に鳴りを潜める。
南海[ナメ]
朝鮮半島南側の海域。東側の一部は東海、西側の一部は西海にあたる。
儀礼[ナレ]
代々続けられてきたしきたりのこと。
娘子[ナンジャ]
若い女性に対する敬称。

陵[ヌン]
王や王妃の墓所。

内医院[ネイウォン]
朝鮮王朝時代、宮中の医療を担当した官庁。
内禁衛[ネグミ]
朝鮮王朝時代、王室を警護した組織。第7代世祖の治世、1457年に創設された。
内四山[ネササン]
漢陽の四方を囲む4つの山の総称。北岳山(北)、駱山(東)、南山 (南)、仁旺山(西)を指す。
内侍[ネシ]
高麗時代から朝鮮王朝時代にかけて存在した、去勢された男性の役人。王の身の回りの世話をした。宦官ともいう。
内需司[ネスサ]
朝鮮王朝時代、王家の機密情報と土地·財産管理を扱った部署。
内訓[ネフン]
朝鮮王朝時代の女性のための教養をまとめた書。言動、両親への孝行、 婚礼などにまつわる礼儀作法が書かれている。第9代王·成宗の母、仁粹大妃によって編纂された。
内命婦[ネミョンブ]
朝鮮王朝時代、宮中で働いた女性の総称。厳密には、品階のない宮女は除外される。

録事[ノクサ]
各官庁において文書の記録な どを担当した官吏。
奴婢[ノビ]
身分階級で賤民に属した存在で、売買された。国が所有する公奴婢と個人が所有する私奴婢があった。
ノヒアニ
下味をつけた薄切りの牛肉を野菜や春雨とともに煮たり焼いたりする。日本のすき焼きに似た料理。
ノリゲ
韓服の胸元などにつける装身具。チョゴリの結び紐やチマの腰などに提げて使い、上流階級から庶民まで広く使用された。金や銀、翡翠などに色鮮やかな紐がついている。
老論派[ノロンパ]
朝鮮王朝第19代王·粛宗の時代に、西人派から分かれた政治派閥。保守派。同じく西人派から分かれた少論派と政権を争った。第22代王·正祖の時代に僻派と時派に分かれる。

パジ
男性用の下衣。ズボンに似ている。
合房[ハッパン]
男女が一緒に寝ること。同衾。
漢陽[ハニャン]
現在のソウル。新羅時代から使われていた名称。1395年に、漢城となる。
合巹礼[ハプクンネ]
結婚式の際、新郎と新婦がお互いに杯を交わす儀式。お酒を交換してひとつになるという意味が込められている。
八公山[パルゴンサン]
大邱北部にある標高1193メートルの山。後三国時代に高麗の王建が後百済の甄萱に大敗した際に、申崇謙ら8人の武将が戦死したことからこの名がついたとされる。
漢拏山[ハルラサン]
済州島の中央部にある火山。標高1950メートルで韓国の最高峰。世界遺産にも登録されている。
判官[パンガン]
従五品の堂下官。官吏の中では中級。 
房子[パンジャ]
男性の使用人。地方官庁で雑務などをこなした。
閑中録[ハンジュンノク]
朝鮮王朝第22代王・正祖の生母である、恵慶宮洪氏によって書かれた回顧録。
反正[パンジョン]
クーデターのこと。1506年の中宗反正や、1623年の仁祖反正が有名。
判書[パンソ]
朝鮮王朝時代、行政を司った六曹の長官のこと。現在の大臣に相当する。
漢城[ハンソン]
現在のソウル。朝鮮王朝の首都。1395年に漢陽から漢城に名称が変更された。
漢城府[ハンソンブ]
朝鮮王朝時代、首都・漢城を管轄した官庁。
泮村[パンチョン]
成均館の近隣にあった村。成均館で下働きをする奴婢が多く住んでいた。
判内侍府事[パンネシブサ]
内侍府の長官で品階は従二品。

比丘尼[ピグニ]
女性の僧侶。
ピニョ
既婚女性が結った髪に差すかんざし。
郷歌[ヒャンガ]
新羅時代から高麗時代初期にかけて詠まれた歌謡。
郷校[ヒャンギョ]
地方に設置された国立の教育機関。
壁書[ピョクソ]
官僚の不正を指摘したり、敵対している勢力をおとしめる目的で、壁などに貼った文書のこと。掛書ともいう。
僻派[ピョクパ]
老論派を主とする儒教の一派。第21代王·英祖、第22代王·正祖の改革に反対する強硬派。
別巡検[ピョルスンゴム]
朝鮮王朝時代末期、警察に相当する官庁、警務庁に所属した役人。鑑識捜査官のような業務を行っていた。
賢良科[ヒョルリャンクァ]
科挙を経ずに、現職者の推薦によって官吏を登用する制度。朝鮮王朝第11代王·中宗の時代に、趙光祖が実施。
県令[ヒョルリョン]
県の行政にあたる官吏。
丙子胡乱[ピョンジャホラン]
1636年-1637年に起きた清との戦い。この戦いに敗れた朝鮮は清の臣下国となった。
刑曹[ヒョンジョ]
朝鮮王朝時代、行政を司った六曹のひとつ。法律や刑罰などを担当する官庁。
兵曹[ピョンジョ]
朝鮮王朝時代、行政を司った六曹のひとつ。軍事を担当する官庁。
嬪[ピン]
朝鮮王朝時代の王の側室の中で最も高い品階。王妃になると、品階はなくなる。
嬪宮[ピングン]
王世子や世孫の正室。世子が即位すると正妃となり、中殿と呼ばれる。
殯殿[ピンジョン]
王や王妃が亡くなった際に、出棺まで棺を安置しておく場所。
殯殿都監[ピンジョントガム]
国葬の際に殯殿を管理し、葬儀を取りしきる臨時の国家機関。
殯所[ピンソ]
出棺まで棺を安置しておく場 

画員[ファウォン]
図画署に所属している絵師。
華城[ファソン]
第22代王・正祖が、父である思悼世子が安らかに眠れる場所として作った城塞都市。
花郎[ファラン]
三国時代の新羅で結成された青年集団の指導者。リーダーには容姿端麗で武芸に優れた男性が選ばれ、青年貴族の構成員は花郎徒と呼ばれた。軍事組織的な役割を果たしたとされるが、元々は 巫女の代わりに男巫として花郎が誕生し宗教従事者として活動した。
活人署[ファリンソ]
庶民の救済を目的とした医療機関。都の東西にあり、主に疫病対策に使われた。
宦官[ファングァン]
中国より伝わった、去勢して王と後宮に仕える男性。内侍側近として重用されるものもいた。
換局[ファングク]
王権強化のため、強力な派閥を失脚させ、対立派閥と入れ替えること。第19代王·粛宗は、庚申換局、己巳換局、甲戌換局と三度も換局を行った。また、第21代王·英祖も丁未換局を行っている。
黄標政事[ファンピョジョンサ]
朝鮮王朝第6代王・端宗の政務の際、幼い端宗のために重臣らが人事案にあらかじめ印をつけて 形式的に王の決定を得たこと。
黄海[ファンへ]
朝鮮半島西側の海域西海とも呼ばれる。
府院君[プウォングン]
王妃の実父に与えられた爵位。品階は正一品で、外戚として宮廷内で力を持った。功臣にも与えられた。
北岳山[プガクサン]
ソウル市北部にある標高342メートルの山。内四山の北にあたる。白岳山ともいう。
北人派[プギンパ]
16世紀末から分かれた政治派閥。同じく東人派から分かれた南人派と対立した。後に第14代王・宣祖の王位継承問題をきっかけに、大北派と小北派に分裂した。
後宮[フグン]
王の側室のこと。
符籍[プジョク]
災いを避けるために、赤い色で文字や文様を書き入れたお札。
北漢山[プッカンサン]
ソウル市北部にある標高837メートルの山。外四山の北にあたる。古くは三角山と呼ばれたが16世紀に北漢山城が築かれてから、こう呼ばれるようになった。
扶余[プヨ]
中国東北部にあった国。朱蒙は扶余の王子だったが国を捨てて高句麗を建国した。その後広開土王により滅ぼされた。
勲旧派[フングパ]
朝鮮王朝第7代王・世祖の時代に有力だった政治派閥。初代王·太祖の朝鮮王朝建国で功績を挙げた勢力。保守的な政党で、改革を推進する士林派と対立した。
朋党[プンダン]
徒党を組むこと。政治派閥がこれにあたる。朝鮮王朝時代、西人派と東人派の政権争いは、朋党政治と呼ばれた。
朋党政治[プンダンジョンチ]
同じ目的を持つ派閥が政権を握ること。しかし、同じ派閥でも意見が対立して分裂することもあった。朝鮮では、士林派が西人派、東人派とが争い、さらに東人が北人と南人に分裂した時代を指す。
訓民正音[フンミンジョンウム]
1446年朝鮮王朝第4代王・世宗が公布した文字体系。漢字を読めない庶民のために作られた科 学的な文字。後にハングルと呼ばれる。

白衣従軍[ペギジョングン]
罪人が白衣の一兵卒として従軍すること。秀吉軍を撃退した李舜臣は、重臣たちの嫉妬により罪に問われるも、白衣従軍で功績をたてた。
白丁[ペクチョン]
身分階級で賤民に属し、その中でも最下層だった被差別民。
白頭山[ペクトゥサン]
中国と北朝鮮の国境地帯にある標高2744メートルの火山。朝鮮王朝時代は太白山と呼ばれ、中国では長白山と呼ぶ。頂上には天池と呼ばれるカルデラ湖があり、満州に流れる松花江、中国と北朝鮮の国境である鴨緑江·豆満江は白頭山に源流がある。朝鮮半島の最高峰で、民族の象徴、発祥の地として信仰の対象となっている。10世紀前半、過去2000年間で世界最大級ともいわれる巨大噴火を起こしたほか、16世紀、18世紀にも噴火を示す記録が残されているが、確実な記録は少ない。
廃世子[ペセジャ]
次の王になるべき世子が、素行不良や健康面などの問題を抱えていた場合、継承権を剥奪され廃世子となる。権力争いにより廃された場合、流罪や賜死となった例もある。
廃庶人[ペソイン]
王や王妃、その一族が、地位を剥奪されて庶民の地位に落とされること。 
百済[ペクチェ]
朝鮮半島南西部に存在した国家。346年〜660年。伝説上の始祖は朱蒙の息子の温祚王。首都は熊津。百済、新羅、高句麗が鼎立した4世紀から7世紀にかけて三国時代と呼ぶ。 
陛下[ペハ]
王への尊称。朝鮮王朝時代は明や清の臣下国だったため、中国の王を陛下、朝鮮の王を殿下と呼んだ。
廃妃[ペビ]
王妃の身分を剥奪された元王妃のこと。
恵民署[ヘミンソ]
朝鮮王朝時代、庶民の医療を請け負った公共の医療機関。
佩物[ぺムル]
金や銀、玉などでできた装身。
行首[へンス]
商団の長への呼称。大行首ともいう。

僕伊処[ポギチョ]
女官の部署。主に内殿の寝室の明かりをつけたり、オンドル(床下暖房)の火を焚いたり、煙管、灰皿の掃除などをする部署。
復[ボク]
死者の魂を呼び戻す儀式。王が死去した際、内官が王宮の屋根に上り、王が着用していた服を掲げて「上位復」と3回唱える。
戸曹[ホジョ]
朝鮮王朝時代、行政を司った六曹のひとつ。租税など財務を担当する官庁。
捕盗庁[ポドチョン]
朝鮮王朝時代の警察機関。左捕盗庁と右捕盗庁があったが、1894年〜1896年の甲午改革で警 務庁に改変された。
号牌[ホペ]
名前や生年月日が刻まれた札。 高麗〜朝鮮王朝時代における身分証として使われた。
保姆尚宮[ポモサングン]
尚宮のうち、幼い王子や王女の養育を担当する者。
洪吉童伝[ホンギルドンジョン]
朝鮮王中期に、学者で文人の許筠によって書かれた小説。ハングルで書かれた最古の小説とされ、現在の韓国でも広く知られている。 内容は、高官の庶子で家族から冷たくされていた洪吉童が家を出て、義賊として活躍するというもの。
渾天儀[ホンチョンニ]
天体を観測するための器具。1433年に蒋英実によって作られた。
本房尚宮[ポンバンサングン]
婚姻して王宮に入る際に、王妃が実家から連れてきた身の回りの世話をさせるための侍女。
弘文館[ホンムングァン]
朝鮮王朝時代、宮中の経書や史籍の管理や、公文書の処理を担当した官庁。三司のひとつ。長官は、太学士と呼ばれた。

馬医[マイ]
馬を専門とする獣医。
摩尼山[マニサン]
江華島にある標高469メートルの山。頂上には檀君が天に祭祀を行ったという塹城檀がある。江華島の最高峰であり、民族の聖地とされ、1977年には国民観光地に指定された。
馬牌[マペ]
暗行御史が身分を証明するために所持していた印。
媽媽[ママ]
男女を問わず、主に王族に対して使用した最上級の尊称。王を表す大殿に使う場合は、テジョンママとなる。
ママニム
宮中で宮女が尚宮に対して使用した尊称。「ニム」は「様」の意味。

微行[ミヘン]
王や貴族などが、お忍びで街を歩くこと。 
妙香山[ミョヒャンサン]
現在の北朝鮮中部にある山並の総称。最高峰の毘盧峰は標高1909メートル。古くから名山として知られ、統一新羅時代の記録では太伯山とも呼ばれた。朝鮮仏教の名山でもあり、高麗時代以降の仏教寺院や史跡が数多く残る。檀君神話において、桓雄が降臨した地とされる。
鳴梁[ミョンニャン]
珍島と右水営半島との間にある海峡。16世紀に起こった丁酉倭乱(慶長の役)で李舜臣が日本海軍に大勝した鳴梁大捷の舞台として知られる。
明倫堂[ミョンニュンダン]
成均館の講義室。現代の成均館大学にも建物が遺されている。 
民乱[ミルラン]
社会問題や政治問題に対して、民衆が起こした反乱。

戊寅靖社[ムインジョンサ]
1398年、李成桂の五男の李芳遠(後の第3代王·太宗)ら先妃から生まれた王子たちが結束して、対立していた鄭道伝らを殺害し、さらに世子の李芳碩とその同母兄で七男の李芳蕃を殺害した事件王子の乱、第一次王子の乱とも呼ばれる。
戊午士禍[ムオサファ]
1498年、士林派の翁孫が編纂した史草の中に彼の師である金宗直が第7代王・世祖の政権簒奪を批判した文書を癸見した李克墩からその事実を聞いた柳子光が第10代王・燕山君に告発。燕山君が士林派に弾圧を加えた事件。
巫蠱獄[ムゴエオク]
仁顕王后が亡くなった後、張禧嬪が仁顕王后を呪詛していたとして、第19代王·粛宗が張禧嬪を賜死させた事件。
ムスリ
宮中で雑用を行う下女。王宮外からの通勤や婚姻も許されていた。
巫堂[ムダン]
朝鮮土着の信仰の祭祀を執り行うもの。巫女。悪霊を祓ったり、医術では治せない病の治療にあたった。
問喪[ムンサン]
弔問・お悔やみのこと。

梅花[メファ]
朝鮮王朝時代、宮廷内で使用されてた隠語のひとつ、大便を意味する。小便は梅雨という。医療を担当する内医院は王の大便を確認して体調の把握と管理につとめた。

蒙古
モンゴル高原に存在した遊牧民族。13世紀初めにチンギス·カンが部族を統一して建国した。
牧民心書[モクミンシムソ]
正祖の重臣として活躍した実学者の丁若鏞の著書。正祖が亡くなると流罪となったため、流刑地で記した。官吏の横領を告発し、農民の困窮を嘆いている。
木覓山[モンミョクサン]
ソウル市にある標高262メートルの山で、現在は南山と呼ばれている。内四山の南にあたり、かつては煙や火による通信網の終点基地が置かれた。

薬湯[ヤクタン]
薬草や種、果実類を粉末にし、湯に溶いて飲むもの。薬用茶よりも効果が高い。
薬房[ヤクバン]
薬剤の調合·管理を行う薬剤所。医女は身分が低く、薬房妓生と呼ばれていた。
洋医[ヤンイ]
西洋の医師。または西洋医学を学んだ医師。対処療法に優れるも、医学の遅れていた朝鮮では異端視された。
良人[ヤンイン]
朝鮮の身分制度では、まず良民(両班、中人、常民と賎民(奴婢、白丁)に大別され、良民を良人とも呼ぶ。両班も良人に入るが、主として農民や漁師などの常民を指す。 
両班[ヤンバン]
朝鮮王朝時代の身分のひとつ。最も身分が高い支配階級。士太夫という高級官吏を出せる。

六曹[ユクチョ]
朝鮮王朝時代、議政府の下に置かれた6つの行政機関。吏曹、戸曹、礼曹、兵曹、刑曹、エ曹の総称。
儒生[ユセン]
科挙の合格を目指して儒教を学ぶ学生。
儒疏[ユソ]
成均館の儒生らによる、王への上訴。
儒林[ユリム]
儒学者同士の繋がり、及び儒教の世界のこと。しかし、同じ儒教を学びながらも多くの派閥を生み儒林は荒れた。

夭折[ヨジョル]
若くして命を落とすこと。
訳官[ヨックァン]
朝鮮時代の通訳官。科挙のうちの雑科を通ったものが任命される。主に中国との交渉で活躍したが、女真やモンゴル語、日本語の訳官もいた。
熱河日記[ヨライルギ]
朝鮮王朝時代後期、実学派の朴趾源が1780年に清の乾隆帝の古稀を祝うための朝貢使節燕行使に随行した時の見聞や清の文人たちとの筆談を収録した文集。紀行文学の最高傑作として高く評価されている。
龍顔[ヨンアン]
王の顔。
領議政[ヨンイジョン]
朝鮮王朝時代の行政府最高機関·議政府のトップ。領相ともいう。
令監[ヨンガム]
朝鮮王朝時代、正三品の掌上官、従二品の役人に使用されていた敬称。名前や役職の後につけて「〜令監」と呼ばれた。
領事[ヨンサ]
朝鮮王朝における名目上の最高執政責任者。正一品だが通常は領議政が兼任する。
龍飛御天歌[ヨンビオチョンガ]
1445年、第4代王・世宗の命で鄭麟趾らが編纂した詩歌。初章1連、終章3連以外は2連で前連は中国の故事、後連は朝鮮の事跡で建国を称えている。ハングルで作られた最初の作品と知られており、「根深い木は風に動かず、花が良くて実が多く」から始まる第2章の冒頭がよく知られている。
龍馬山[ヨンマサン]
ソウル市東部にある標高632メートルの山。外四山の東にあたる。
逆謀[ヨンモ]
反逆を試みること。

倭寇
13世紀から16世紀頃にかけて略奪や密貿易などを行った日本の海賊集団。朝鮮半島や中国大陸沿岸に多く見られた。
(参照)韓国時代劇 歴史大全